インターネットを通じて商品やサービスの代金を支払うオンライン決済は、現代のビジネスに欠かせない存在となっています。クレジットカード決済、電子マネー、QRコード決済、銀行振込など多彩な支払い方法が普及しています。ECサイトやアプリだけでなく、実店舗などさまざまな販売シーンで活用され、顧客の利便性向上と売上拡大に貢献しています。
特に近年では、スマートフォンの普及とともにモバイル決済が急速に成長しています。24時間365日いつでもどこでも決済が可能な環境が整備されました。しかし、多様な決済サービスの中から自社に最適なものを選ぶには、慎重な検討が求められます。セキュリティ対策、手数料体系、導入コスト、システム連携など考慮すべき要素は多岐にわたります。そのため、基本知識と適切な判断基準を身につけることが重要です。
オンライン決済を導入する前に知りたい基本知識と種類
自社のビジネスモデルに合った決済システムの選び方から費用までを徹底解説します。オンライン決済を導入する以前に、どういったものがあるか、最低限の知識を身に着け、より最良の選択ができるようにしましょう。
それぞれ順に解説します。
オンライン決済システムの4つのタイプを利用シーン別に解説
オンライン決済システムは、ビジネスの形態や販売方法によって最適なタイプが異なります。ここでは、代表的な4つの利用シーン別にオンライン決済システムのタイプを解説します。自社のビジネスモデルに合ったシステムを選ぶことで、顧客の利便性向上や売上アップにつながるでしょう。
ECサイト・ネットショップなどのオンライン販売向け
ECサイトやネットショップでの商品販売、オンラインでのチケット販売、セミナー申込など、インターネット上での取引に特化したシステムです。このタイプの決済システムの特徴は、クレジットカード決済をはじめ、コンビニ払い、後払いなど多様な決済手段に対応している点にあります。
顧客層や販売する商品・サービスによって求められる決済方法は異なるため、幅広い決済オプションを提供できることがオンライン販売の成功につながります。たとえば、e-shopsカートSは、WordPressや既存サイトにカート機能を簡単に追加でき、クレジットカードや後払い、QRコード決済など幅広い決済手段に対応。送料設定も柔軟で、都道府県別や温度帯別にカスタマイズ可能です。
また、ECサイト向けシステムの中には、商品を選んでもらうためのショッピングカート機能と決済機能が一体となったものや、既存のECサイトに後から決済機能だけを追加できるタイプがあります。さらに、メールで決済リンクを送れる「リンク決済」機能を持つサービスもあり、SNSやメールマーケティングと組み合わせた販売にも活用できます。
選ぶ際のポイントは、自社のECサイト構築方法(独自開発、ショッピングカートASP、ECモール出店など)との相性と、顧客が求める決済手段をカバーしているかどうかです。
リアル店舗販売とネット販売の両方に対応するハイブリッド型
実店舗とオンラインの両方で販売を行う小売店や飲食店に適したタイプです。このハイブリッド型の最大の特徴は、店舗での決済(POSレジ)とオンライン決済を一元管理できる点にあります。
在庫情報や売上データをリアルタイムで統合管理できるため、複数の販路を持つビジネスにとって業務効率化につながります。たとえば、オンラインで注文された商品を店舗で受け取る「BOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)」や、店舗で商品を見てオンラインで購入する「ショールーミング」など、オンラインとオフラインを融合した購買体験を提供できます。
SquareやAdyenなどのサービスがこのタイプに該当し、実店舗用の決済端末とオンラインストアを連携させるシームレスな仕組みを提供しています。特に、コロナ禍以降の「オムニチャネル化」の流れの中で、実店舗とオンラインの垣根を越えた販売戦略を実現するためのカギとなっています。
選択の際は、POSシステムとの連携性や在庫管理機能の充実度、オンライン・オフライン双方での顧客データの統合が可能かどうかがポイントになります。
アプリやデジタルサービスでの定期課金向け
サブスクリプションモデルのアプリやデジタルサービス、オンラインコースなどの販売に適したタイプです。このタイプの決済システムは、柔軟な課金設定が可能で、日割り計算、開始日指定、無料トライアル期間設定などの機能が充実しています。
サブスクリプションビジネスでは、初回の契約獲得だけでなく、継続的な利用と定期的な料金支払いがビジネスの核となります。そのため、顧客がスムーズに登録でき、かつ自動更新の仕組みが確実に機能することが重要です。
StripeやPayPalなどのサービスは、サブスクリプション管理に強みを持ち、料金プランの変更、支払い方法の更新、解約処理などを自動化する機能を提供しています。また、支払い失敗時の再試行(リトライ)機能やカード有効期限切れ前の更新通知など、継続率を高めるための機能も重要です。
アプリ内課金に対応したシステムを選ぶ際は、Apple App StoreやGoogle Play Storeとの連携がスムーズに行えるかどうかも確認すべきポイントです。また、定期購入の管理画面が顧客にとって使いやすく、解約や一時停止などの手続きが簡単に行えることも、顧客満足度に直結します。
月謝・会員費などの継続課金が多いビジネスモデル向け
スポーツジムやスクール、会員制サービスなど、定期的な会費や月謝を集金するビジネスに適したタイプです。このタイプの特徴は、毎月の自動引き落としが確実に行われる仕組みと、会員管理機能が一体化している点にあります。
従来は口座振替やクレジットカード決済を個別に手続きする必要がありましたが、オンライン決済の導入により、入会手続きから決済までをオンラインで完結できるようになりました。これにより、会員獲得のハードルを下げるとともに、事務作業の大幅な効率化が実現します。
特にStripeのようなサービスでは、サブスクリプション機能を活用することで、月会費の自動引き落とし、日割り計算、プラン変更、一時停止など、継続課金ビジネス特有のニーズに対応できます。また、未払い時の自動リマインド機能や滞納管理機能も備えているため、回収率の向上にも貢献します。
選ぶ際のポイントは、会員情報と決済情報を一元管理できるか、予約システムや会員向けコンテンツ配信などの関連機能と連携できるか、という点です。また、長期的な関係を築くビジネスモデルでは、途中解約や返金対応も想定されるため、そうした処理がスムーズに行えるシステムを選ぶことも重要です。
オンライン決済導入前に押さえたい2つの契約方法の特徴
オンライン決済を導入する際には、大きく分けて2つの契約方法があります。それぞれの特徴を理解し、自社の規模や状況に合った方法を選びましょう。適切な契約方法を選ぶことで、初期コストの削減や手続きの簡素化につながります
決済代行会社やプラットフォームを通せば複数決済をまとめて導入できる
決済代行会社(Payment Service Provider:PSP)を利用する方法は、中小規模の事業者にとって最も現実的で一般的な選択肢です。PayPal、Stripe、Square、GMOペイメントゲートウェイなどの決済代行会社を通じて契約することで、複数の決済手段を一括で導入できます。
この方法の最大のメリットは、手続きの簡便さです。個々の決済機関(クレジットカード会社やコンビニチェーンなど)と個別に契約する必要がなく、一社との契約で多様な決済手段を提供できます。また、審査基準も比較的緩やかで、個人事業主や設立間もない企業でも利用しやすいのが特徴です。
さらに、決済代行会社は独自のセキュリティ対策やシステム開発を行っているため、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)などのセキュリティ基準への対応も含めて任せられます。技術的な知識が少なくても、APIやプラグインを活用することで自社サイトに簡単に決済機能を組み込めるのも大きな利点です。
ただし、この方法のデメリットは決済手数料が比較的高くなる点です。決済代行会社はサービス提供の対価として一定の手数料を上乗せするため、直接契約に比べると決済あたりのコストは増加します。しかし、初期投資や運用コストを考慮すると、売上規模が大きくない段階では決済代行会社を利用する方が総合的にはコスト効率が良いケースが多いでしょう。
決済機関と直接契約する方法は手数料が抑えられるが中小規模では実質困難
クレジットカード会社(イシュア、アクワイアラー)や電子マネー事業者、コンビニチェーンなどの決済機関と直接契約する方法もあります。この方法の最大のメリットは、決済手数料を抑えられる点です。中間業者を挟まないため、決済あたりのコストを低減できます。
しかし、この方法は大規模企業以外にとっては実質的にハードルが高いのが現実です。その理由はいくつかあります。まず、審査基準が厳格で、企業の規模や業歴、財務状況などが厳しく審査されます。また、各決済機関と個別に契約する必要があるため、複数の決済手段を提供する場合、契約手続きや審査対応が煩雑になります。
さらに、セキュリティ対策も自社で対応する必要があり、PCI DSSなどの厳格な基準を満たすためのシステム開発やセキュリティ監査にかかるコストも考慮しなければなりません。加えて、システム連携やメンテナンスも自社で行う必要があるため、技術的なリソースも必要となります。
これらの理由から、決済機関との直接契約は、年間売上が数億円以上の大規模ECサイトや、特定の決済手段のみを利用する場合を除いて、あまり現実的な選択肢とはいえません。中小規模の事業者であれば、初期費用や運用コスト、手続きの手間を考慮すると、決済代行会社を利用する方が総合的にメリットが大きいでしょう。
オンライン決済サービスの選び方!注目したい8つのポイント
オンライン決済サービスは数多く存在し、機能や費用体系もさまざまです。自社のビジネスに最適なサービスを選ぶためには、複数の視点から比較検討することが重要です。ここでは、オンライン決済サービスを選ぶ際に注目すべき8つのポイントを詳しく解説します。これらのチェックポイントを押さえることで、後悔のない選択ができるでしょう。
それぞれ順に解説します。
自社の状況に合ったオンライン決済の導入方法を見極める
オンライン決済を導入する方法は一つではありません。自社のIT環境や予算、技術リソースに合わせた導入方法を選ぶことが、スムーズな実装と効果的な運用につながります。ここでは、代表的な2つの導入方法について解説します。
ホームページはあるが開発コストを節約したいならSaaS型
すでに自社のホームページやECサイトを持っているものの、決済機能の開発にコストをかけたくない場合は、SaaS(Software as a Service)型の決済システムが適しています。SaaS型とは、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスで、月額料金を支払うことで必要な機能を利用できるモデルです。
SaaS型決済システムの最大のメリットは、専門的な開発知識がなくても、比較的簡単に既存サイトに決済機能を組み込める点です。多くのサービスでは、HTMLコードのコピー&ペーストやプラグインの設置だけで導入が完了します。また、セキュリティ対策やシステムアップデートはサービス提供側が担当するため、運用負担も軽減されます。
ホームページもなくどうしたらいいかわからないならプラットフォーム型
まだ自社のホームページやECサイトを持っていない場合や、IT知識が乏しく何から始めれば良いかわからない場合は、プラットフォーム型のサービスが最適です。プラットフォーム型とは、商品登録から決済までの全ての機能が一体となったオールインワンサービスのことです。
プラットフォーム型の最大のメリットは、Webサイト制作やシステム構築の知識がなくても、商品やサービスの販売をすぐに開始できる点です。多くのサービスでは、テンプレートに沿って必要事項を入力するだけで、商品ページと決済システムが一体となったECサイトを簡単に構築できます。
えば、Shopify、BASE、Squareなどのサービスは、独自ドメインの設定から商品管理、決済処理、顧客対応までをカバーする包括的なソリューションを提供しています。また、InstagramやFacebookなどのSNSとの連携機能も備えており、多角的な販売チャネル展開も容易です。
プラットフォーム型を選ぶ際のポイントは、月額費用と手数料のバランス、デザインテンプレートの豊富さ、マーケティング機能の充実度などです。また、将来的に自社サイトへの移行を考えている場合は、データのエクスポート機能やAPI連携の可能性も確認しておくと良いでしょう。
EC型・対面型・サブスク型など自社の販売スタイルに対応しているか
オンライン決済サービスを選ぶ際に最も重要なのは、自社のビジネスモデルや販売スタイルに適しているかどうかです。全ての決済サービスがあらゆる販売スタイルに対応しているわけではなく、それぞれに得意・不得意分野があります。
たとえば、ECサイトでの単発販売が中心なら、多様な決済手段と簡単なカート機能が重要になります。一方、サブスクリプションモデルであれば、定期課金の管理や料金プラン変更の柔軟性が求められます。また、オンラインと実店舗の両方で販売を行う場合は、POSシステムとの連携性が重要なポイントとなります。
具体的には、ECサイト型の販売には、Stripe、PayPal、GMOペイメントゲートウェイなどが適しています。対面販売とオンライン販売の両方を行うハイブリッド型には、Square、Shopify POS、Adyenなどが強みを持っています。サブスクリプション型のビジネスには、Stripeのサブスクリプション機能やRebilly、Chargebeeなどの専門サービスが適しています。
自社の販売スタイルに合ったサービスを選ぶことで、無駄な機能にコストをかけることなく、必要な機能を効率良く導入できます。また、将来的なビジネス拡大も見据えて、新たな販売方法にも柔軟に対応できるサービスを選ぶことが理想的です。
クレカ・QR決済・銀行振込など対応している決済手段を確認
オンライン決済サービスを選ぶ際には、対応している決済手段の種類と充実度を確認することが重要です。顧客が望む支払い方法を提供できないと、購入の機会損失につながる可能性があります。
現代の消費者は多様な決済手段を使い分けており、世代や地域、購入金額によって好みの支払い方法が異なります。そのため、自社の顧客層やビジネスモデルに合わせて、適切な決済手段をカバーしたサービスを選ぶことが大切です。e-shopsカートSのようなサービスでは、クレジットカード、PayPay、コンビニ決済、キャリア決済など多様な決済手段を一括導入可能。ゼウスとの連携で3Dセキュア2.0にも対応し、安全性と顧客利便性を両立します。
主要な決済手段とその特性については、以下の表を参考にしてください。
決済手段 | 特徴例・活用シーン |
---|---|
クレジットカード決済 | 幅広い顧客層に対応し、高額商品の販売や国際取引に適しています。分割払いや定期課金に対応しており、継続的な取引に強みがあります。VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubなどの主要ブランドへの対応状況も確認しましょう。 |
電子マネー決済 | Suica、PASMO、楽天Edyなどの電子マネーは、少額決済や若年層向けのサービスに適しています。特に交通系ICカードは普及率が高く、日常的な少額購入に使われることが多いです。 |
キャリア決済 | ドコモ払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払いなどのキャリア決済は、携帯電話料金と合算で支払いができるため、クレジットカードを持たない若年層や決済手続きの簡便さを求める層に人気です。デジタルコンテンツの販売に特に適しています。 |
ID決済 | Apple Pay、Google Pay、PayPayなどのID決済は、スマートフォンユーザーに便利で、決済の速さと安全性を兼ね備えています。特にモバイルサイトやアプリでの購入に適しており、リピート率の向上にもつながります。 |
コンビニ決済 | クレジットカードを持たない層や現金派の顧客を取り込むのに効果的です。支払い期限を設定できるため、在庫管理がしやすく、未払いリスクを軽減できます。ただし、即時決済ではないため、デジタルコンテンツ販売には適さない場合があります。 |
ネットバンキング決済 | 主に法人間取引や高額商品の購入に利用されます。リアルタイムでの入金確認が可能なサービスもあり、確実な入金を確認してから商品を発送したい場合に適しています。 |
デビットカード決済 | 購入と同時に銀行口座から即時引き落としされるため、予算管理をしやすく、若年層や財務管理を重視する層に支持されています。クレジットカードの審査が通らない顧客層へのアプローチにも有効です。 |
後払い決済 | 商品到着後に支払いができるため、通販初心者や商品を確認してから支払いたい顧客に安心感を提供します。Paidy、NP後払い、atoneなどのサービスが代表的で、購入率向上に貢献します。ただし、手数料は他の決済方法より高めになる傾向があります。 |
このように、各決済手段にはそれぞれ特徴があり、適した用途が異なります。理想的には、自社の顧客層がよく利用する決済手段を複数カバーしたサービスを選ぶことが望ましいでしょう。ただし、対応する決済手段が増えるほど管理コストや手数料も増加する傾向があるため、実際の利用状況を見ながら最適化していくことも大切です。
また、訪日外国人向けのビジネスを展開している場合は、Alipay、WeChat Pay、UnionPayなどの海外で主流の決済手段への対応も検討する価値があります。グローバル展開を視野に入れている場合は、国際的な決済サービスの選択が重要になるでしょう。
入金までの日数や振込条件が資金繰りに合っているか
オンライン決済サービスを選ぶ際に見落としがちなのが、売上金の入金タイミングです。決済が行われてから実際に自社の口座に入金されるまでの日数は、サービスによって大きく異なります。この入金サイクルが自社の資金繰りに合っているかどうかは、特に中小企業やスタートアップにとって重要な検討ポイントです。
一般的に、クレジットカード決済の場合、決済から入金までは翌営業日~30日程度かかることが多いです。たとえば、月末締めの翌月末払いというサイクルが設定されている場合、最大で2ヶ月近く入金が遅れる可能性があります。一方、即時入金サービスを提供している決済代行会社もあり、追加手数料を支払うことで早期に資金を回収することも可能です。
また、入金の最低金額や手数料体系も確認すべきポイントです。えば「1万円以上の売上がないと振り込まれない」「振込手数料が差し引かれる」といった条件がある場合、売上規模の小さい段階では不利になることがあります。
資金繰りに余裕がない場合や、仕入れサイクルが短い商材を扱っている場合は、入金サイクルの短いサービスを選ぶか、早期入金オプションが利用できるサービスを検討すると良いでしょう。
在庫管理システムや会計ソフトとの連携が可能かどうか
オンライン決済サービスと既存の業務システムとの連携性は、導入後の業務効率に大きく影響します。特に在庫管理システムや会計ソフトとの連携がスムーズに行えるかどうかは、二重入力などの手間を省き、ミスを防ぐ上で重要なポイントです。
たとえば、ECサイトで商品が売れた際に、決済情報が自動的に会計ソフトに取り込まれ、同時に在庫数が更新されるといった連携が実現できれば、手作業による転記作業が不要になります。これにより、業務効率が向上するだけでなく、人為的なミスも減少します。
具体的には、StripeはXeroやQuickBooksなどの主要会計ソフトとの連携機能を備えており、売上データの自動連携が可能です。また、Shopifyは独自の在庫管理システムを内蔵しており、他の販売チャネルとの在庫連携も容易です。
API(Application Programming Interface)の提供状況も重要なチェックポイントです。APIが充実していれば、将来的に他のシステムとの連携や独自機能の開発も容易になります。特に、成長途上の企業では、ビジネスの拡大に伴ってシステム連携のニーズが高まることが予想されるため、拡張性の高いサービスを選ぶことが賢明です。
自社で利用している業務システムとの相性を確認するために、事前に連携可能なサービスの一覧を確認したり、必要に応じてテスト連携を行ったりすることをおすすめします。
決済画面の見やすさや使いやすさが離脱防止につながる
オンライン決済の成功において、決済画面のユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)は非常に重要な要素です。いくら魅力的な商品やサービスを提供していても、決済プロセスが複雑だったり、使いにくかったりすると、購入直前で顧客が離脱してしまう「カゴ落ち」が発生しやすくなります。
理想的な決済画面は、シンプルで直感的に操作できることが基本です。必要な情報入力は最小限に抑え、進捗状況が明確にわかるステップ表示や、エラー時の具体的なガイダンスなどが提供されていることが望ましいです。また、スマートフォンでの表示・操作性も重要で、レスポンシブデザインに対応していることは現代では必須条件といえるでしょう。e-shopsカートSの「ゼロステップカート」は、1画面で購入手続きが完結する設計で、カゴ落ちを軽減。顧客の使いやすさを追求し、コンバージョン率向上に貢献します。
決済画面のカスタマイズ性も重要なポイントです。自社ブランドのロゴや色を反映させたり、独自のメッセージを表示させたりできれば、顧客に安心感を与え、ブランドの一貫性を保てます。一方で、過度にカスタマイズされた独自の決済画面は、顧客に不安や警戒心を抱かせる可能性もあるため、バランスが重要です。
具体的には、フォーム入力の自動補完機能、クレジットカード番号の自動フォーマット、入力ミスの即時検出など、細かな機能がストレスなく実装されているかをチェックすると良いでしょう。コンバージョン率向上には3クリック以内で決済を完了できることが理想的とされています。
決済サービスを選ぶ際は、実際にデモ画面やテスト環境で操作感を確認したり、実際の利用者のレビューを参考にしたりすることも有効です。顧客目線で使いやすい決済体験を提供することが、購入完了率(コンバージョン率)の向上につながり、ビジネス成長の重要な要素となります。
PCI DSSなどのセキュリティ水準をしっかり満たしているか
オンライン決済を導入する上で最も重要な要素の一つが、セキュリティです。特に顧客のクレジットカード情報を扱う場合、国際的なセキュリティ基準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠は必須条件となります。
PCI DSSとは、クレジットカード業界の大手企業(VISA、Mastercard、JCB、American Express、Discoverなど)が共同で設立したPCI Security Standards Councilによって策定されたセキュリティ基準です。この基準は、カード情報の保存・処理・伝送における安全性を確保するための要件を定めており、オンライン決済を扱う全ての事業者に適用されます。
PCI DSSへの準拠レベルは取扱件数によって異なりますが、基本的には安全なネットワークとシステムの構築・維持、カード会員データの保護、脆弱性管理プログラムの実施、強力なアクセス制御の実装、ネットワークの定期的な監視とテスト、情報セキュリティポリシーの維持などの要件を満たす必要があります。
個別に対応するのは非常に専門的で負担が大きいため、多くの中小事業者は決済代行会社のサービスを利用することでこれらの要件を満たします。決済代行会社は、カード情報を自社サーバーではなく決済代行会社のセキュアな環境で処理する仕組み(トークン化やiframeの活用など)を提供しており、これによりPCI DSS準拠の負担を大幅に軽減できます。
日本クレジット協会の「クレジットカード取引セキュリティガイドライン」でも、非対面取引におけるセキュリティ対策の重要性が強調されており、PCI DSS準拠の必要性が明記されています。このガイドラインは、日本国内でクレジットカード決済を扱う事業者にとって重要な参考資料となっています。
オンライン決済サービスを選ぶ際は、PCI DSS準拠に加えて、3Dセキュア(本人認証サービス)や不正検知機能の有無、SSL/TLS暗号化の強度なども確認すると良いでしょう。セキュリティ対策は顧客の信頼獲得にも直結する重要な要素です。
信頼性が高く問い合わせ時のサポートが受けやすいか
オンライン決済は事業の根幹に関わる重要な機能であり、問題が発生した際の対応スピードや質が事業継続に大きく影響します。そのため、決済サービスを選ぶ際は、サポート体制の充実度も重要な判断基準となります。
具体的に確認すべきポイントとしては、サポート時間(24時間365日対応か、平日営業時間のみか)、サポート方法(電話、メール、チャット、FAQ、ナレッジベースなど)、対応言語(日本語サポートが充実しているか)、初期設定サポート(導入時のテクニカルサポートは充実しているか)、トラブル対応(決済エラーや不正利用発生時の対応プロセスは明確か)、契約年数と実績(サービス提供歴や導入実績は十分か)などが挙げられます。
特に、決済関連のトラブルは売上に直結するため、迅速な対応が可能なサポート体制を持つサービスを選ぶことが重要です。サポート品質はユーザーレビューや評価サイトでの評価を参考にすることが推奨されています。
また、導入実績も信頼性の指標となります。同業他社での導入事例や、公開されているケーススタディを確認することで、自社と似た環境での使用実績や成功事例を把握できます。特に日本市場での実績がある海外サービスを選ぶ場合は、日本語サポートの質や日本の商習慣への理解度も重要なポイントです。
万が一のシステムダウンやセキュリティインシデント発生時の対応方針も事前に確認しておくと良いでしょう。SLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)が明示されているか、補償制度はあるかなども、サービスの信頼性を判断する材料となります。
オンライン決済導入にかかる費用は導入方法によって大きく変わる
オンライン決済を導入する際の費用は、選ぶサービスや契約方法によって大きく異なります。初期費用、月額費用、決済手数料などさまざまな費用項目があり、自社のビジネス規模や取引量に適した料金体系を選ぶことが重要です。ここでは、オンライン決済導入にかかる主な費用項目と、選択時の注意点を解説します。
それぞれ順に解説します。
初期費用は無料から数万円までプランにより幅がある
オンライン決済サービスの初期費用は、サービスやプランによって無料から数万円まで幅広く設定されています。主な初期費用として考えられるのはアカウント開設料、導入支援費、カスタマイズ費用、セキュリティ対策費などが含まれます。
2025年現在、多くのグローバル決済サービスでは初期費用無料のプランを提供しており、参入障壁を下げる傾向にあります。えば、Stripe、PayPal、Squareなどの主要サービスでは、基本的なアカウント開設は無料となっています。
ただし、無料プランでは機能制限があったり、月額費用や決済手数料が高めに設定されていたりすることもあるため、総合的なコスト評価が必要です。また、ECサイト構築サービスとセットになっている場合は、プラットフォーム全体の初期費用として考える必要があります。
初期費用を抑えたい場合は、無料プランから始めて段階的に機能を拡張していく方法も検討できます。ただし、将来的な拡張性やサービス移行の容易さも考慮に入れた上で選択することが重要です。
ランニングコストは月額費用と決済手数料
オンライン決済サービスの継続的なコストは、主に月額費用と決済手数料の2種類に分けられます。これらのコストは事業の収益性に直接影響するため、自社の取引規模や平均取引金額に基づいて最適なプランを選ぶことが重要です。
月額費用は、サービスの基本利用料として毎月発生する固定費です。サービスによって無料から数千円程度まで幅があり、提供される機能やサポートレベルによって料金が異なります。多くの場合、上位プランほど多機能になり、決済手数料が割引されるといった特典が付くことが一般的です。
決済手数料は、取引ごとに発生する変動費で、通常は「取引金額の何%+固定手数料」という形式で設定されています。たとえば、Stripeの場合、標準的な料金は「取引金額の2.9%+30円」となっています。この手数料率は決済手段によっても異なり、一般的にクレジットカードよりも銀行振込や後払いサービスの方が高くなる傾向があります。
業界平均としては、クレジットカード決済の場合、2〜5%程度の手数料率が一般的ですが、取引量が増えれば交渉によって引き下げられる可能性もあります。特に月間取引額が数百万円を超える規模になると、カスタム料金プランの相談ができるサービスも多いです。
その他のランニングコストとして考慮すべき項目には、チャージバック(返金)手数料、海外カード決済の追加手数料、早期入金オプション料、機能追加オプション料などがあります。これらの費用項目を総合的に考慮し、自社の取引特性に最も適したサービスとプランを選ぶことが、長期的なコスト最適化につながります。
安さを重視しすぎると機能やサポートに不安が残る可能性
オンライン決済サービスを選ぶ際、コスト削減は重要な検討事項ですが、安さだけを重視しすぎると、思わぬデメリットが生じる可能性があります。特に機能性やサポート体制、セキュリティレベルが不十分な場合、長期的には大きなリスクや機会損失につながることもあります。
安価なサービスでよく見られる課題として、セキュリティ対策の不足、サポート体制の弱さ、機能の制限、システム安定性の懸念、拡張性の限界などが挙げられます。たとえば、セキュリティ対策が不十分な場合、セキュリティインシデントが発生した際のダメージは節約できたコストをはるかに上回る可能性があります。また、24時間対応の迅速なサポートがない場合、決済トラブル発生時に売上機会を逃す恐れがあります。
コスト効率と機能・サポートのバランスを取るためには、現在の取引規模だけでなく、将来的な成長見込みも考慮した上で選択することが重要です。また、無料トライアル期間や短期契約から始めて、実際の使用感や問題点を確認してから長期契約に移行するアプローチも賢明です。
最終的には、単純な料金の安さではなく、自社のビジネスにとっての「費用対効果」を重視した選択が望ましいでしょう。必要最低限の機能とセキュリティを確保した上で、コスト最適化を図るバランス感覚が大切です。
オンライン決済導入サポートならネクストハンズ

株式会社ネクストハンズでは、Webシステムやスマートフォンアプリの開発、ネットショップの開発支援などをおこなっています。特にSaaS事業やECサイトの構築における実績を多数持っており、ネットショップの新規立ち上げやオンライン決済の導入を検討する企業様に適したサービスを展開しています。
ネクストハンズのWebシステム開発には、以下の強みがございます。
- 24年の実績とノウハウで最適なソリューションをご提案
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立ち上げから34年、インターネット事業では24年以上の実績とノウハウでシステム構築をサポートいたします。
お問い合わせはこちらオンライン決済の導入に関するよくある疑問とその回答
オンライン決済の導入を検討する際、多くの事業者が同じような疑問や不安を抱えています。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。実際の導入プロセスをスムーズに進めるための参考にしてください。
オンライン決済の導入は一見複雑に思えますが、適切な情報と準備があれば、中小規模の事業者でも比較的容易に実現可能です。以下の質問と回答を参考に、自社に最適な決済システム導入の計画を立ててみましょう。
自社ホームページにクレジット決済機能は付けられる?
はい、既存の自社ホームページにクレジットカード決済機能を追加することは十分可能です。現在では、専門的な開発知識がなくても、決済代行サービスやSaaS型決済システムを利用することで、比較的簡単に導入できます。
導入方法は主に決済ボタン・フォームの埋め込み、決済代行会社のAPIの利用、プラグイン・モジュールの活用の3つがあります。決済ボタンやフォームのコードをサイトに貼り付けるだけの方法が最も手軽です。より柔軟なカスタマイズが必要な場合はAPIを利用する方法がありますが、この場合はプログラミングの知識が必要となります。WordPressなどのCMSを利用している場合は、専用のプラグインを使って簡単に決済機能を追加できます。
自社サイトへの決済機能追加は以前に比べて大幅に簡素化されており、多くの決済代行会社が導入ガイドやサポートを提供しています。セキュリティ面でも、カード情報を自社サーバーではなく決済代行会社のセキュアな環境で処理する仕組みが一般的となっているため、PCI DSS準拠の負担も軽減されています。
導入に際しては、自社サイトの構築方法や技術環境に合った決済サービスを選ぶことが重要です。また、モバイル対応や多様な決済手段への対応など、顧客ニーズに合わせた機能選定も成功のカギとなります。
個人事業主でもオンライン決済は利用できるの?
はい、個人事業主でもオンライン決済サービスを利用できます。近年は多くの決済代行会社が個人事業主向けのプランを用意しており、審査基準も比較的緩和されています。
個人事業主がオンライン決済を導入する際のポイントは、審査要件の確認、取引量に合ったプランの選択、簡易導入が可能なサービスの選択などです。一般的に必要な書類は、本人確認書類(運転免許証等)、営業実態を証明する書類(開業届の写し等)、銀行口座情報などです。小規模な取引を想定している場合は、固定費用が少なく、取引量に応じた従量課金制のサービスが適しています。技術的なリソースが限られている場合は、専門知識がなくても導入できるサービスを選ぶことが重要です。
個人事業主に人気の決済サービスとしては、Stripe、PayPal、Square、PayPayなどがあります。これらのサービスは初期費用が無料または低コストで、月額固定費も抑えられている場合が多いです。また、モバイル決済やQRコード決済にも対応しているため、対面販売とオンライン販売の両方に活用できるという利点もあります。
個人事業主がオンライン決済を導入する際の注意点としては、確定申告時の売上管理や税務処理があります。決済サービスから提供される売上レポートと自社の会計記録を適切に連携させ、正確な売上管理を行うことが重要です。また、成長に合わせてビジネス形態が変わる可能性も考慮し、将来的な拡張性があるサービスを選ぶことも大切です。
チャージバックや不正利用の対策はどうすればいい?
オンライン決済におけるチャージバック(カード会社を通じた返金請求)や不正利用は、事業者にとって大きなリスク要因です。適切な対策を講じることで、これらのリスクを軽減し、安全な取引環境を構築できます。
効果的な対策としては、まず多層的なセキュリティ対策の導入が挙げられます。PCI DSS準拠、3Dセキュア(Visa Secure、Mastercard Identity Check等)の活用、アドレス照合サービス(AVS)による請求先住所とカード登録情報の一致確認、CVV/CVC確認によるカード裏面のセキュリティコード検証、デバイスフィンガープリントによる不審なデバイスや行動パターンの検出などを組み合わせることで、不正利用のリスクを大幅に低減できます。
また、AI不正検知システムの活用も効果的です。多くの決済代行サービスは、機械学習を活用した不正検知機能を提供しています。不審な取引パターン(通常と異なる大量購入、複数カードの短時間利用、特定の国・地域からのアクセスなど)を自動検出し、リスクの高い取引を事前にフラグ付けします。
顧客に対して返品・返金条件を明確に提示し、同意を得ることで、誤解によるチャージバックを減らすことも重要です。また、カスタマーサポートを充実させ、問題が発生した際に直接解決できる窓口を提供することも効果的です。
取引に関する詳細な記録を保持することも大切です。配送追跡情報、IPアドレス、取引時刻、顧客とのやり取りなど、詳細な記録を保持することで、チャージバック発生時の対応力が向上します。特に、高額商品や海外取引では、配送証明や署名確認などの証拠を確保しておくことが重要です。
日本クレジット協会の「クレジットカード取引セキュリティガイドライン」でも、非対面取引におけるセキュリティ対策の重要性が強調されており、最新の不正対策技術の導入が推奨されています。特に、EMV 3-D Secure(3DS 2.0)などの最新認証方式の採用は、チャージバックリスクの低減に効果的です。
最終的には、完全な防止は困難でも、リスクを許容範囲内に抑える多層的なアプローチが重要です。コスト効率とセキュリティレベルのバランスを考慮しながら、自社の取引特性に合った対策を講じることが望ましいでしょう。
決済サービスを途中で変更することは可能?リスクはある?
はい、決済サービスを途中で変更することは可能ですが、いくつかのリスクと移行コストを考慮する必要があります。特に、事業が軌道に乗った後の変更は慎重な計画と準備が求められます。
決済サービスの変更に伴う主なリスクとしては、まずデータ移行の課題が挙げられます。顧客情報や決済履歴、定期課金設定などのデータ移行が必要となるため、古いシステムから新しいシステムへのデータエクスポート・インポートがスムーズに行えるかを事前に確認する必要があります。特に定期課金(サブスクリプション)契約を多く抱える場合、移行の複雑さが増します。
また、システム連携の再構築も重要な課題です。在庫管理システムや会計ソフトなど、他のシステムとの連携を再設定する必要があります。APIやWebhookの設定変更、テスト実施などの技術的な作業が発生します。
一時的なサービス中断のリスクもあります。移行作業中に決済機能が一時的に利用できなくなる可能性があるため、営業への影響を最小限に抑えるための工夫が必要です。顧客への影響も考慮すべきで、特に定期課金の場合、顧客に再度カード情報の登録を求める必要が生じることもあります。決済画面やプロセスの変更により、顧客の混乱やカゴ落ちが増加するリスクもあります。
さらに、現在の決済サービスとの契約条件によっては、途中解約のペナルティが発生する場合もあります。最低契約期間や解約通知期間などの条件を確認しましょう。
これらのリスクを軽減するためには、段階的な移行計画の策定、十分なテスト期間の確保、顧客への事前通知などの対策が有効です。全ての決済を一度に移行するのではなく、新規顧客のみ新システムを適用するなどの段階的アプローチも検討すべきです。
決済サービスの変更は技術的にも運用的にも複雑なプロセスですが、事前の準備と計画によってリスクを最小化できます。特に、成長段階のビジネスでは、将来的な変更の可能性も考慮して、データポータビリティやAPI柔軟性の高いサービスを初期選定時から意識しておくことが望ましいでしょう。